水神(スイジン)


久しぶりに本を読みながら泣いた。

帚木蓬生(ハハキギ ホウセイ)著の「水神」である。

川のそばにありながら高地の為に水がない。
そんな村々に水を引く為の堰渠(えんきょ)を作ると言う一大プロジェクトを庄屋たちが立ち上げる。

次々と立ちはだかる苦難も彼らの熱意に心動かされた人たちの支援で前へと進む。

庄屋と、そこで養われている農民(荒使子とかかれている)双方からの心情を交互に表している。
ここに登場する庄屋は私欲より百姓たちの事を真剣に考えている。

最初に登場する「打桶」なるものが象徴的である。
筑後川の水を、桶を使って二人の荒使子が毎日毎日田畑の灌漑用の溝へ汲んでいる。
これでは何時までたっても貧農からは脱しきれないと、堰を作り取水した水で田畑を潤し豊かな実りを夢見るのである。

5人の庄屋たちが費用は自分たちが提供するというプロジェクトに、久留米藩は許可を出し、普請奉行や郡奉行などを配するし、商家や金貸したちも応援してくれる。
郡奉行の下役の一人は、何時見回っても堤防の上から二人で水を汲んでいるのを見ていて、この事業に特に力を貸し、最後には庄屋たちの身代わりに切腹までするのである。

完成して通水の時は、あちこちの村の人々がこぞって土手に陣取り流れてくる水の音を聞くのである。
2ヶ月間女子供まで総出での事業に、一丸となって取り組めたのは「これは自分たちの為の事業である。これが完成したらあれも可能だし、これも出来るかも知れない」と過去の辛さから脱却して、新しい夢を見ることが出来たからである。

悪人の出てこない時代小説といえばそれまでだが、ティッシュペーパーをそばに置き気持ちのよい涙を流しながら読んだ本であった。


neko
Posted byneko

Comments 6

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いも子  

おはようございます。

私も読んでみたいと思います。・・・・・(移動図書の本でしょうか?)

帚木蓬生(ハハキギ ホウセイ)初めて知った著者名です。(難しい名前ですね。)

2010/06/09 (Wed) 09:40

猫谷姫  

お早うございます!!
 
>ここに登場する庄屋は私欲より百姓たちの事を真剣に考えている。

(*^0^*)ノ オォー!! どっかのお国の政治家にも読んでもらいたい本ですね!!

「タイトル=水神」ってのが又、奥深いです♪
姫もこの頃は「気持ちよくなれる本や映画」が
好きになりましたよ。もう??なのは嫌じゃわぁ

先日、「告白」読んだのだけど、確かに惹き付ける力量は天才的な湊かなえさん。
でも怖すぎ~~!!そこまで復讐するんかい。
ヾ(^o^;)o ォィォィ・・・でした。

2010/06/09 (Wed) 09:54

neko  

いも子さん こんばんは。

移動図書の本です。
金曜日に返却しますから他の人のリクエストが入っていなければどうぞ!

帚木さんは医者との二束のわらじを履いている人で、病院とか医療とかの小説が多いです。

2010/06/09 (Wed) 20:18

neko  

猫谷姫さん こんばんは。

そうなんですよ。今のえらいさん方は誰の為に政治をしているのでしょうかねえ。

「水神」
5人の庄屋たちに罪が行かないように、藩主にお願いしつつ切腹した武士の事を、庄屋たちが農民に「これこそ神様だ。水神だ!」というラストが感動物でした。

2010/06/09 (Wed) 20:24

薄雪草  

こんばんは^^

うれしかぁーっ^^
「水神」は我が田舎の話です!

あっ!
初めてコメントを書きます^^
嬉しくて舞い上がりました.....

私も読みました^^
その時の記事です

http://usuyukiso.blog97.fc2.com/blog-entry-1019.html

暇なとき見てください^^

2010/06/11 (Fri) 20:30

neko  

薄雪草さん こんばんは。
あ、はじめまして!

ブログ、早速拝見しました。
小学校の校歌にもなっている5人の庄屋さんなのですね。
切腹したお侍さんは架空の人だそうですが、作者の心やさしい気持ちが伝わる本でした。

返却した本は、上記コメントのいも子さんが借りていきました。
きっと今頃読み始めていることでしょう。

2010/06/11 (Fri) 22:01